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第54話 未知の扉(2)

Author: 酔夫人
last update publish date: 2026-06-05 17:51:51

午後の授業が始まっても、実花はまったく集中できなかった。

黒板に書かれる数式も教師の説明も頭に入ってこない。

ノートは取っている。

教科書も開いている。

しかし意識は別のところにあった。

(あの胸の高鳴りはなんだったのかしら……)

昼休みの出来事を思い出してしまう。

篠原真理のことを思い返すだけで胸の奥がざわつく。

心なしか鼓動が速くなった。

笑顔を思い出すたびに顔が熱くなる。

これはまるで――。

(恋のときめきみたいな……って!)

実花は慌てて首を振る。

違う。

違う違う違う。

恋ではない、絶対に違う。

(だって相手は女性よ!)

前の生も含めて実花は男性しか好きになったことがない。

光也にときめいたことは認めよう。

でも、光也も男性だ。

(だからときめきだと分かる……違うわっ! あれとは違う、うん。憧れよ。きっと憧れ)

自分に言い聞かせる。

格好いい女性への憧れ。

それは女子校ではよくあるもの。

(尊敬とか親愛とか、そこから始まる疑似的恋愛……恋愛って、違うのよっ!)

  『え……可愛すぎる』

真理の声が脳裏によみがえる。

「っ!」

実花は思わず机に額をぶつけそうになった。

可愛い
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